佐藤尚規

第1回 インターネットで儲けたい人、集まれ

 初回ということで、まず簡単な自己紹介を。
 大阪を拠点に、インターネット関係のコンサルタントをさせて頂いてい る。なぜ、インターネットか、というと、話せば長くなってしまうが、少 々おつき合いを願いたい。
 昔、むかし、地球がまだ原始海洋に覆われていた頃・・・というのは冗談であるが、1995年の関西大震災の直後、私は一発奮起してインター ネットを始めた。まあ、ここまでなら、パソコン音痴オジサンのよくある 話だ。
 インターネットを開始して3ヶ月くらい経って、突然、一つのアイデア がひらめいた。自分の体験記を本にすれば、これからインターネットを始 める初心者に役に立つだろう、と。一度もお金を頂いて文章を書いたこと もないクセに、大手の出版社に企画書を送り付けた。その時、自分で付け たタイトルは、「インターネットに花束を」(爆笑)。たぶんにダニエル ・キース氏の名作「アルジャーノンに花束を」をパクったものだったろう。

 ところが、この企画がすんなり通ってしまった。本文は1行も書いてい なかったにもかかわらず、である。  こうして、処女作「バーチャルカンパニー」(やはりタイトルは変更さ れた)は、1995年10月に本当に書店に並ぶことになった・・・。こ の本がきっかけとなり、以後、1年半の間に、計7冊のインターネット本 を書くことになる。雑誌の連載や社員向け小冊子などを含めると、この間 に書いた原稿は、原稿用紙に換算して3000枚は下らないだろう。コン サルタントというより、ライターに近いかもしれない。

 おお、これぞ、インターネットで「一攫千金」の見本だって?おいおい おい、全然違うぞ。確かに、この1年半は、忙しく充実した毎日だったか もしれないが、受け取った印税や原稿料の額は、「一攫千金」には、ほど 遠い。たまごっちは何個か買えるだろうが、丸ノ内に一戸建てはとうてい 買えない。アタリマエか。
 私のようなフリーランスにとって、収入面だけを見ると同期のサラリー マンにはかなわない。大手都市銀行に入った友人なんか、すでに1000 万円近い年収がある。社宅や福利厚生を考慮に入れると、その差はますま す開くばかりで、計算するだけでイヤ気がさす。

 しかし、その分、通常のサラリーマンでは考えられない体験をすること ができた。本を出版すること自体もそうであるし、本がきっかけでテレビに出演したり、一介のコンサルタントなら会えないような人ともお話がで きたりした。これらの体験や、それによって形成された人脈こそ、私の一 番の宝物である。なにしろ、「大変貴重」とでも評価しないと、人生のバ ランスシートが全然釣り合わないという事情もあるから、「とってもとっ てもとってもとってもとってもとっても」大事な宝物だ。「とっても」を 6回重ねるのが今の流行りである。

 そうこじつけてみると、私もインターネットで「一攫千金」らしきもの を堀当てた一人、といえるかもしれない。  勇気が湧いてきたところで、これより、インターネットで一攫千金を目 指す旅に出発しよう。なんでもござれのインターネットのこと、アナタに とっても素敵な銭儲けの話が見つかるかもしれませんよ。  理不尽な話題を乗せて、世にもアヤシイ連載コラムの始まり、始まり。  毎週、更新するので、見捨てないでNE。