シリコンバレーウォッチ

シリコンバレーウォッチャー



 リテールでのBTOはもともと、デルなどに対抗するため企業向けPCビジネスから開始されたのである。しかし97年秋以降、これらのリテールの殆どはコンシューマ向けの1台売りにもBTO方式を採用し始めている。しかしリテールのすべての店に組み立てラインをもつことはできない。従って多くの店はPCキオスクとして、そこで受注したコンシューマ向けは、1ヶ所で組み立て1〜2日遅れで発送する方式がとられている。しかし大型店舗ではそれぞれBTOラインをもって、即刻カストマーの仕様に対応したPCを組み立て、小規模ストアではCPUの種類とメモリ増設だけには即刻対応するという「制限付きBTO」を展開するのは大手のエッグヘッドである。

 組み立てラインをもつストアで買った客には、20〜30分の待ち時間でBTOで生産し商品を手渡しできることを強調するストアも出現している。しかし企業向けの大量受注や、特定の土曜日にコンシューマの発注が集中して、謳い文句通りの時間内で商品を手渡しできなくなっているストアも多くなった。それだけBTO方式がカストマーに好まれていることの証しとなる。しかし一方ではリテール経営者は、組み立てラインの増強のための場所の確保、あるいは再度の設備投資に頭を痛め始めているのも事実である。設備の償却ができるだけの受注量が確保できなければ、BTO方式の高い粗利益も夢物語になってしまうからだ。


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