新趣向ノンフィクション
「90歳のジャズの王様、ベニー・カーター」
 第1回

 ベニー・カーターは、90歳のジャズ奏者。子どもの頃から、アルトサックスを吹きつづけてきた。なんと今も現役で、ステージに立ち続けている。
 背筋はピンと伸びているし、サックスを演奏するときの指も若い頃と変わりゃしない。女の背中をなでるように、なめらかに動く。
 よく、歳を取ると耳が遠くなるってのもいるが、彼の耳の方だって何の支障もない。奥様同士のひそひそ話だって、いくらだってメモして、大声で言いふらかすことができるほどだ。

 本人は、こんな冗談を飛ばして周囲を笑わせる。
「俺の頭とセックスは40代だ。だけど、足だけは歳並だね。」
 そう、彼から老化を感じさせるのは「膝」くらいなもの。まるで、「膝」だけが先に歳を取ってしまったみたい。
 歩くときはどうしてもよちよち歩き。サックスを演奏するときだって、椅子に座っている。
 だけど、逆に言えば、「膝」くらいしか彼の年齢を感じさせるものがないってことさ。アルトサックスをぶらさげて、大きな体でスウィングする姿は、まるで子どもみたいさ。    



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