「ジョンベネット事件に見るアメリカの報道」

伊藤聡子



 それにしても、毎週毎週よくこんなにもいろんなことが出てくる・・・。 アメリカの美少女殺人事件である。12月26日にジョンベネ・ランジーちゃん(6才)が殺害されてから4ヶ月余り経った今なお、犯人の逮捕には至っていない。にもかかわらず、視聴者の関心は依然高く、またその関心に火をつけるかのようにアメリカのタブロイド紙をはじめとするマスコミが、事件の核心に迫るような衝撃的な内容を次々と報じるのだ。

 例えば、「両親は互いに愛人がいて、特に父親はロリータ趣味だった。」「私は父親ジョンの愛人だったが、彼は、ジョンベネちゃんがコンラストで着た衣装と同じ衣装を私に着せた。」(という女性の証言)さらに今日、「ジョンベネちゃんの爪の中の皮膚のDNAが父親のものと一致した! という報道。」これは後で誤報とわかったのだが、とにかく論調としては「実行犯は父親、偽装工作のための脅迫状は母親が書いたもの。」ということになっている。

 事件の本線としては、5月2日にようやく両親の事情聴取が行われ、(だいたい娘が殺されたら全面的に警察に協力するものなのに、拒否し続けたりするから疑われるんだよ。)その後、特定のマスコミだけを集め、質問を限定した上で、両親が4ヶ月ぶりに記者会見を開いた。  もちろん「私達は潔白だ。」という主張である。しかしいくら主張されても、この会見はさらに疑惑を深める結果になってしまった。「やっぱり両親は容疑者だ。」と。

 日本だったら、逮捕される前の人物に対してここまで断定的な報道をしたら、絶対名誉毀損で訴えられると思うのだが、アメリカの場合ここまで自信を持って報道してしまうのは、捜査当局自らがリークして世論を動かしているとしか思えない。陪審制度のもとで、心証がいかに大切かということを考えれば、この動きもわからないではないが・・・。
 とにかく、スーパーモーニングでも、この事件はついに第18弾まで来てしまった。いつになったら解決の日を迎えるのだろう・・・。



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