「神戸の小6殺人事件」




伊藤聡子


神戸の小6殺人事件。
頭部を切断し、傷つけた上で、中学校の校門の前に置くという残忍さ、そして、あざ 笑うかのような挑戦的なメッセージ・・・。

ワイドショー歴4年の中でも類を見ない事件である。 その卑劣な犯人像について、連日、近所の証言を追いかけたり、メッセージを識者に 解説してもらったりして、独自に絞り込みを進めているのだが、いろんなことが明か になるにつれて、当初言われていた「無差別な快楽殺人」から「”淳君”を狙った犯 行」といった要素も色濃く出てきた。

まず、無差別と思われた一番の要因は、3月に少女を狙った通り魔事件が500mと離れ ていないところで2件も起こっているからであった。しかし、3月の事件では、刺され た女の子が「若い”お兄ちゃん”に刺された」と証言しているのに対し、今回目撃さ れている不審人物は全て、年令30〜40歳なのである。 小学生にとって「お兄ちゃん」と言えるのは20才前半ぐらいまでで、30代以降は 「おじさん」と表現するのではないだろうか。

また、犯行の手口も「殴打する」「刺す」…といったものと、今回のように首を締め て切断するという行為とは異質なもののような気がする。 さらに、目撃証言を重ね合せていくと、淳君のマンションを見張る男が1ヶ月くらい 前から3回程目撃されており、年令、身長、体型とも今回の事件の不審人物に非常に よく似ている。

もし、これが犯人だとすれば通り魔ではない。明かに淳君を狙ってい たのだ。これを裏付けるように、淳君は決して知らない人についていくような子では なかったと周囲のひとは証言する。となると、ある程度顔を知っていたか、あるいは 言葉をかわしたことがあった人間という可能性が出てくるわけで、犯人はかなり以前 から計画だてて淳君に近づいていたかもしれないのだ。

そして、あの不気味なメッセージ。かなりのミステリー・オタクであるらしく、小説 の一部や、30年前、アメリカで起きた無差別猟奇殺人事件、ソディアック事件の犯人 が送り付けたメッセージをそのまま引用しているとしか思えないのだが、逆に、今回 の事件で犯人が独自に付け足している部分に焦点をあてると、さらにそう思える節が ある。

汚い野菜どもに死の制裁を
積年の大怨に流血の裁きを


この2行。犯人は明かに怨みがあるのだ。快楽殺人と怨みは別である。 さらに「汚い野菜ども」とあるが、野菜、つまり、Vegitableには社会的弱者という 意味もある。知的に障害のあった淳君のことをもし指していたとしたら・・・。こん なに卑劣なことはない。

とにかく、こんな犯人を野放しにしておくわけにはいかない! 一刻も早い事件の解明と犯人逮捕を願う!