今こそ戦後の総括をすべき時だ




田原総一朗


 野村証券、第一勧銀の首脳陣が相次いで逮捕された。 先日ある公演会に臨席した際、ある人がこういった役員の犯罪について、たまたま巡りあわせた不運であって、名誉の負傷であるのかどうかといった話をしていた。

私は、こうした犯罪を名誉の負傷であるとする考えには同感できない。こんな考え方をしていたら企業は一向に良くならないと思う。
 今、我々の社会は転換期にいる。従来であればこういった事件犯罪をうまく処理できる人間が腕の良いものとされてきたが、こういった悪弊を絶ち切るときが来たのではないだろうか。自由・公正・国際化という世界の潮流に日本も乗ってゆくべきで、闇の勢力や必要悪を許すべきではない。それが国際常識であって、その中で我々は異端となってしまう。国内を国際化しないとこうした事件が絶たれはしない。

 最近、銀行・証券業界の人がこんなことをつぶやく。
うっかりすると役員になってしまうかもしれない」 まさに、この言葉に象徴されるのが現状である。

 私は警告したい。このまま戦後の統括ができないまま闇と表が結びついた状態が続けばこの国の明日は来ないと。



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