「持てる者」と「持たざる者」の情報格差・・・ 米国からの報告
宮尾尊弘


 すべてが二極化している今日このごろであるが、情報化の進展もその例外ではない。情報化の波に乗って急速に伸びている企業と、乗り遅れて沈んでしまう企業の差はまさに、月とスッポンに比較できる。
 日本ではパソコンの普及率でも、ネットワーク化率でも、ホームページ数でも、大企業と中小企業の格差、および大都市と地方との格差が開く一方である。このような二極化の現象は日本特有なものであろうか、それとも情報先進国である米国でも見られるのあろうか。

 私は夏の間、ロサンゼルスに滞在しているが、こちらで見るかぎり、情報化のスピ ードが速いだけに、情報を持つ者と持たざる者との差が日本以上に目立つともいえる。二極化は日本だけの現象ではないのである。
 例えば、私が訪問している南カリフォルニア大学での最新の調査よると、カリフォルニア州全体で438ある都市のうち約25%に当たる119の都市が市のホームページ(website) を持っているという。そして重要なのは、119の「持てる都市」と残りの「持たざる都市」の間に、すでに大きな社会経済的な格差が見られることである。

 具体的に、市のホームページを持っている都市は、持っていない都市にくらべて、人口規模で1.7倍、一人当たり歳入額で1.8倍、家計の平均所得で1.1倍、平均住宅価格で1.2倍といった有意の差があり、教育水準も高く、少数民族の比率も低いという特徴がはっきりしている。
 これでは、情報ネットワークによる情報交換が盛んになるにつれて、地域の社会経済的な格差が開く一方になることは明らかであろう。これが米国でも情報先進地域といわれるカリフォルニア州の現実なのである。

 日本の地域でも、情報化に熱心な県が増えているようにみえるが、それがはたして市町村レベルの情報化の差を埋めるような方向に働いているかどうかはまだ分からない。日本ではこれから情報化を草の根レベルで進めるなかで、情報格差を広げないようにするという難しい課題を抱えている。
 この点で、日本の各地域がそれぞれの事情に合わせて主体的に情報化を進める努力を幅広く支援する必要があろう。例えば、本スーパーコラムのコラムニストである国際大学グローコム所長の公文俊平氏が以前から提唱されているCAN (コミュニティ・エリア・ネットワーク)を全国レベルで推進するなど、私たちがやるべきことは多い。



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