動けないのか動かないのか
甲田益也子


 仕事場での話題として、「30代(40代だったかも)のスタッフが集まると病気の話になるのよね。」と年上のスタッフが話しているのを聞いて当時の20代の私はピンとこなかったけれど、「へェー、そーなのかー」とぼんやり未来を思っていた。  

 最近、私のまわりでは遅いけれど出産の話題がかなりの頻度ででてくる。が、やはりからだのどこそこが悪いとか、あそこの先生がいいとかなんて当たり前になってきていて、先の話が現実味をぐっと帯びている。ほぼ健康な私がこういうのも後ろめたいが、近ごろからだが動かない。そして、身軽に動いていたことがあったのかさえ疑わしい気がしてきて、妙な考えにとりつかれている。

 妹が肝臓を悪くした。彼女は西洋医学だけではどうにも納得できず、さらに気孔の先生のところに相談に行った。気で治療(とは言えないらしいが)を受けたあとの帰り道、からだが別人のように軽かったらしい。そして、私も身体が動かないのは、単に怠け者なだけではないのかもしれないと思い始めた。(勝手に?)

 そこで思うのが、ブレインストームのからだ感覚バージョン。疲れたといって人はどのくらいの感覚になっているのか。果たして私の感じるからだの重さは甘いものなのか。隣のあの人と交換してみたい。私より怠け者はあまり見たことがないが、働き者は動ける人なのか、それともがんばっている人なのか知りたい。ああ、こんなこと考える私って、やっぱり甘いんだろうな。すみません。