闘いとショーの狭間で〜衛星放送時代の主役は誰か? 〜

転換期を迎えるプロレス業界 第2回
闘いを忘れた選手たち

 プロレスとは何か? 現在の新日本プロレスの選手の意識は『夢と驚きを与えられ るファミリーエンターティメント』で間違いないだろう。現場トップの長州力はスペ クタルスポーツと定義している。だが猪木は違う。『プロレスとは闘いである、闘い を忘れた者はレスラーではない』。ここ数年喧嘩世界一決定戦と称したアルティメッ ト大会がマニアの関心を集めている。

すでに10回近く開かれその度ごとに世界最強と 呼ばれる男が誕生した。猪木はルールのないこの闘いを否定しつつも、新日本プロレ ス以外に世界最強を名乗る男がいることを許せなかった。それ以上に世界最強を名乗 る男に目をそむけている弟子たちに我慢できなかったのだ。猪木はマスコミを通じて 盛んに挑発したが誰も乗ってこない。逆にそんなことを繰り返し言っている猪木に対 し反感を持つようになった。そのことを察知した猪木は既存の選手をあきらめ自ら真 に実力のある選手の育成を開始する。そうした時に偶然出会ったのが小川直也という 逸材である。



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