〜日本人唯一のマン島T.T.チャレンジ編〜




国際A級ライダー
前田淳



 今まで様々なレースに出場してきましたが、何か足元に錘が付いている様な不完全燃焼の自分がいた。何か物足りない自分がそこにいた。しかし、今回のマン島TTレース出場をきっかけに、自分が抱いていた疑問が解けていく方向に進んで行くことだけは確実に解った、
 一般公道を閉鎖して行われるマン島TTレースはイギリスで行われる最古のレース、と言うより世界で一番古くから行われているレースそれがマン島TTレースな訳です。その歴史たるや実に90年! その頃から現在のコースを使用して公道レースが行われている訳ですね。

自分もそのレースに出場した訳なんだけど、はっきりいってハマッタ! ハマルくらいにおもしろかったってのが今の素直な気持ちやね。ハマッタ理由の一つがコースの長さ。一週60Km! レースを知らない人にはピンとこないだろうけど、あの有名な鈴鹿でも一週6Km程。日本では一番長いんだけどね。実に鈴鹿の十倍! それも先の見えやすいサーキットならいざ知らず、市街地あり、山間部あり全く先の見えないコーナーばかりで、一寸先は闇って言う言葉は、ここからきたんじゃないかと言うくらいの凄いコースな訳ですね。普段は当然公道だからセンターラインも存在するんだけど、やっかいなものまで存在しちゃうんだ。何かと言うと、歩道に電柱に家に抗(鉄条網付き!)崖にマンホールとあげていけばキリが無い。冗談抜きで転べば死ぬし、オーバーラインもかなりヤバイでしょうね。現実に僕も2回死にかけた、こわかったなー。
そんな無茶苦茶な状況が一週60Kmにも渡って続くレース、それがマン島TTレースな訳です。

 何故そんな危ないレースに出場したか? それはまわりの人達が危ないからやめとけって言ったからだよね。本当にダークダックスみたいな答えだよねえ。ここぞとばかりに俺が正義だ! なんて感じで普段なんにもないのに凄く心配した振りしてさあ、君なら大丈夫だから期待してるよなんてウソでも言えないのかねー。そんな目の死んでるようなヤツから離れたかったのと、スピードが偉い国、日本じゃ全然レースなんて認知もされていないし、もうしてほしくもないけど、マン島に集まる人間は違うのよ。だって90年目ですよ! 歴史が違うよね。昔雑誌で見た雑誌からの知識なんだけど、老夫婦が二人してプログラムみながら、一人一人の順位とかタイムとかをチェックしてるのね。箱根駅伝を子供の頃から見ていて年とっても応援している、そんな感覚な訳ですよね。

日本じゃ選手の寿命も短いし、セールスポイントなんて弱冠16歳でチャンピオン! なんて年齢だけしかセールスポイントも無いからサーキットはガキばっかりだし、選手もファンも寿命が短いのが現実だよね。話はそれたけど、要するにそういう本当のモータースポーツ文化が根付いた人達の所で走りたかった、てのが本音やね。マン島で走っているバイクは日本のメーカー(ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ)のがほとんどで、スポンサーなんかもサンヨーなんて日本企業が応援してたりなんかするんだけど、全員外人なんだよね。(当り前だろ!)なんか日本人としてすっごくくやしくて、このコースで5年以内に勝ちたい! 技術は輸出しているが文化は輸出してないし日本にモータースポーツ文化は無いそんなところで日本製バイクに日本人が勝つ! あいつらにHONDAは本田! SANYOは三洋!ってのを教えたくてマン島参戦を思いついたんだけど、想像以上に苦労しましたよホント。完全プライベートで行って来たもので・・・その話はまた次に。



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