ものわかりのいいお父さんが
援助交際を成り立たせる?
社会現象ウォッチャー  原 彬



「試験で高い偏差値をとることとお客さんから効率よくお金を巻き上げるのって感覚 的には一緒なの。どっちもゲームみたいなもんだから」  援助交際を巡る事件を取材した際に出会った女子高生は屈託なくそう語った。一見 まじめでクラス委員風なので、本当にこの子が? と思ったが、私は甘かった。シャ ワー室に入った男の財布から金を盗んだりしながら半年で100万円稼ぎ、そのお金で イラン人から大麻を買ったりしていたというのだから。

一流、二流、県立、私立を問わずクラスにはひとりはいると言われる援助交際経 験者。今さらそれを取材してもたいした話はないと思っていたが意外に収穫は多かっ た。 これまで彼女たちの「カラダひとつでこんなに稼げる、おやじなんてちょろい、 真面目に働くのはバカらしい」というお定まりの価値観の崩壊ばかりがクローズアッ プされてきたが、実はそれよりももっと大きな問題があったのだ。 それは真実から目をそらす父親の態度なのだ。

今回補導された娘を持つ父親にも何人か話を聞けた。そのうちのひとりは娘が援助交際をしていたことを何となく気づいていたけど「幸せな家族団らんの雰囲気をあえて壊すのが嫌だったから」怒ることはしなかったという。 いつか娘が自分のやっていることを自ら反省してくれることを祈っていたのだと。補 導員に話を聞くとその方だけでなく、今そういう父親が急増しているらしい。 「物欲を我慢することを知らず、ばれなければ何をしてもいいと思っている娘に、 子供のわがままを叱れずものわかりのいいお父さんを演じようとする父親がいてはじ めて援助交際は成り立つのだからあんたも気をつけな」と貴重なアドバイスまでいた だいてしまった。  

 



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