就職協定とは何か?
学生は忘れた頃にもやってこない
社会現象ウォッチャー  原 彬



 やっぱり餅は餅屋だ。柄にもなくイベントプロデューサーを請け負って大失敗をし てしまった。某アパレル団体の来春卒業者を対象とした企業合同説明会の人集めを頼 まれたのだが、結果まったく人が集まらなかった。不思議なくらいに。我々の手口は こうだ。中堅どころを中心に約100校の大学・短大に足を運びポスターとイベント趣 旨を説明したリーフレットを渡し、出展企業が計100名近い人材の採用を予定してい ることを説明する。
それ以外に100の大学・短大と150の専門学校にリーフレットと「よろしくお願いします」と書かれた挨拶状を送り改めて電話で生徒の参加を呼びかける。 開催日10日前にはもう一度新しいポスターとリーフレットを送り電話で確認した うえ、ファッション関係の専門学校には当日行われるファッションショーを授業の一 環として使ってもらうよう呼びかけた。そのイベントではかなり豪華なファッション ショーが日に二回開かれたのだ。どの学校も好感触でこれなら黙っていても学生が大 挙押し寄せると思っていた。

甘かった。昨年の実績が2日間で500人と聞いたとき「なら今回は1000人だ」と大風呂敷を広げた。それだけに恥ずかしい。就職協定が廃止されたことが7月のイベントには予想以上の逆風となったのだ。あえて来場者の数字は明らかにしない。一緒に請け負った仲間は請求書が出しにくいと苦り切っている。出展企業に対しては6月の段階ですでに500人は確保したと報告していたので、どの企業も会場に山ほど企業案を持ち込んでいた。会社の将来を背負って立つ人材確保に並々ならぬ意欲と期待だ。それがこの様で私は会場にいることが息苦しく、何となく巨人清原の気持ちが理解できた。いったい何が悪かったのか。22日の朝日新聞ではそのイベントの4日後から早くも再来年卒業者、つまり現在の大学3年生を対象とした就職セミナーが始まったと書かれていた。このときほど朝日新聞をありがたいと思ったことはない。とりあえずその記事のコピーを50枚ほどとっておいた。

 



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