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32話 「日本文学 イン・アメリカ」

ニュー・イングランド通信

日本では『読書の秋』と言って「本を読んで秋の夜長を過ごそう」という風習があり ます。所が、雪に閉ざされるニュー・イングランド地方では むしろ暖炉に薪をくべて『読書の冬』というのがピッタリです。読書と言えば 皆さんはどんな本をお読みになりますか?日本の古典、西洋文学、お好みは様々でしょう。

000119-1.jpg (9k) さて今回は、英訳された日本の文学を、長年にわたってアメリカの高校生に教えてこ られた Jack Fields 先生をご紹介したいと思います。Field 先生の文学好きは少年時代にさかのぼります。実の親を知らず、14軒の里親の元を点々とした先生は、親し家族や友達が居ない事も手伝って 図書館で読書に没頭していました。やがて、戦争中に Yankマガジンの編集の仕事に就き、日本にやって来た先生は、ジャーナリズムの世界 で活躍し、当時の『話題の人』山下将軍や東條将軍に直接会ってインタビューをするなど、日本と深いつながりが出来ます。その後 Stars & Stripes紙関連の Salute という雑誌の編集の仕事に就きますが、日本文学に対する情熱が納まらず、NY大学 でマスターの称号を取り、教職に就きます。以来、リタイアするまで NY州にある Great Neck High School で主に高校3年生に日本文学(英訳の物)を教え、更に Creative Writing のクラスで「書く事」を教えてきました。

先生は 英訳された日本文学はすべて読んだとおっしゃるだけあって ご自宅の書庫に は 安部公房、谷崎潤一郎、夏目漱石、川端康成、三島由紀夫などの本がずらりと並んでいます。「私は教えると言う事に大変情熱を感じています。金儲けなどより生徒との心のふれあいに生きがいを見出して、生涯を教職に捧げてきました。『教える』と言う事は『種を蒔く』様な物です。
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