36話 「テイー・ポットの中のラブ・バード」
ニュー・イングランド通信
現在のアメリカは「人種のるつぼ」と共に「文化のるつぼ」でもあるのですが、建国
当時はイギリスの影響が強かった筈。所が「ボストン茶隊事件」の影響か?アメリカ人はあまり紅茶を飲みません。
一般的にはコーヒー党です。アメリカに住んでいても、私は数少ないイギリス式のテイー・ハウスに行って、一人一人の違った柄のテイー・ポットとカップを楽しみながら、本格的イギリス・テイーを飲むのが好きです。ある日、友人と一緒にテイー・ハウスで紅茶を飲んでいると、「あら、貴女のテイー・ポット、"ラブ・バード"ね」
と言うのです。年期の入ったブルー&ホワイトのテイー・ポットには中国の景色を思
わせる図柄が描かれています。彼女がお祖母さんから聞いたと言うロマンチックな「ラブ・バード」のストーリーを、皆さんにもご紹介しましょう。
白地に青で描かれているのは中国を思わせる宮廷の様な建物と庭、庭には様々な木々
、沖には船が停泊していて、桟橋に向かって橋が架かっています。その橋の上には3人の人が描かれ、その中の一人は鉄砲を持っています。そして、空には二羽の鳥が飛んでいます。彼女曰く「これはお姫様と庭師の恋物語なの。この宮廷にお姫様は住んでいて、庭師を好きになるんだけれど、父親が反対して二人が会う事を禁止するのね。そこで二人は駆け落ちをする計画を立てるの。庭師はお姫様に『桜の木に林檎がなったら 駆け落ちをするサインだから』って告げるの。
勿論、桜の木に林檎がなる訳はないんだから 庭師がひとつひとつ丁寧に桜の枝に林檎をくくり付けるのよ。
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