74話 「モナーク蝶の一生」
ニュー・イングランド通信
秋が深まって来ました。ニュー・イングランド地方では秋というより、もう初冬の感
じです。今年は10月に初雪を記録し、厳しい冬が予想されます。渡り鳥達は、南へ向かう長い旅の途中、刈り取りの終った牧草地やコーン畑でしばしの休養を取っています。今回は、コネチカット州トーリングトンの小学校教師、Mrs. Sabatelliにモナーク蝶について伺いました。
3年前、生徒の一人がモナーク蝶のサナギを学校に持って来たことがきっかけで、Mrs.サバテリは理科の教育と環境問題を学ぶ良い機会につながると考え、自宅と教室でモナーク蝶の飼育を始めました。モナーク蝶は、ミルク・ウイードと呼ばれる雑草の葉にしか、卵を産みません。最近、NYやニュー・イングランド地方の一部で、「ウエスト・ナイル」と呼ばれる蚊が見つかり、この駆除の為に空から薬を撒布する為、ミルク・ウイードが少なくなってきました。このウエスト・ナイルという蚊に刺されると、幼児や体力の弱っている老人は死に至るという程の強烈なヴィールスの持ち主ですから、駆除を徹底的にして頂かなくては困るのですが、一方ではこの様な弊害も出てきます。
モナーク蝶はたった6週間の命。暖かい環境とミルク・ウイードを求め、ニュー・イ
ングランドとメキシコの間を、約6世代の蝶が受け継いで、行ったり来たりするそうです。その間、次々に卵を産み、次の世代に想いを託します。
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