101話 「花ミズキ」
ニュー・イングランド通信
日本の春を告げるのは、初春に咲く紅白の梅に始まり、何と言っても4月の桜でしょ
う。お花見は国民的行事と言っても過言では無いほど日本人魂に訴えるものがあり、
日本人は皆、桜前線の北上を待ちに待っています。
春の訪れが遅いニュー・イングランド地方では、5月中旬のハナミズキの時期が
日本のお花見の頃に相当し、紅白のハナミズキがあちこちに咲く田園風景は本当に美
しいものです。
米国コネチカット州、フェアーフィールド群、グリーンフィールドでは毎年「花ミズ
キ・フェステイバル」が行われ
ます。地元のキリスト教会の婦人会では、開拓時代のコスチュームをまといツアー・
ガイドをして呉れますし、
手作りのクッキーやホット・ドッグもふるまって呉れます。正にアメリカのお花見で
す。
花ミズキにはこんな伝説があるのです。
「花ミズキは昔、樫の木と同じ位に大きくて強い木であった為に十字架として使われ
ていました。
花ミズキ自身がそれをとても嫌がっていたのを知っていたキリストは、ご自分が十字
架に架かった時に、『これからは、花ミズキは細くて曲った枝にして上げよう。花弁は4枚にして2枚は長く、もう2枚を短くして十字架を象り、それぞれの花びらの先には、十字架の釘のサビの茶色と血の赤を彩り、真ん中の花心には茨の冠をつけさせよう。』と約束したそうです。
それで、現在の花ミズキの形になったというお話です。
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