123話 「星条旗 No.2」
ニュー・イングランド通信
アメリカに戻って最初に気がついたのは、商業ビルは勿論のこと、各家庭の玄関、郵
便ポスト、車、バイカーの皮ジャンの背中など、至る所に、星条旗が掲げられている
ことでした。何と、星条旗は売り切れ。どこに行っても、もう星条旗が手に入らない
状態に陥ったほどの人気です。普段は個人主義が徹底して、自己主張が強く、他人と
同じ事をするのを嫌うアメリカ人ですが、一旦、事が起きると、一気に団結するのが
アメリカ人の愛国心。その愛国心の表われが、星条旗にこめられているように思いま
す。
友人のMrs.Cは、「悲しみと怒りが入り交ざった何とも表現できない気持ちなのよ。
胃の中に思い鉛がズシーンと入っているような感じ。私なんて生い先短いのだから良
いけれど、未だ若い、前途ある人達にどの様な精神的な影響が出るか、心配だわ。ア
メリカ人は決して以前と同じようには戻れないでしょうね」と語ってくれました。
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