第6話 「米国人教師 日本へ行くの巻 No.1」
今回から3回のシリーズで アメリカ人教師のDr. Jennifer Dolanさんの日本ヘいらした時のお話をご紹介しながら 日米の違いを考えて行きましょう。
フルブライト教育基金のスポンサーにより、全米から200人の先生達が日本ヘ3週間の視察研修旅行に出掛けました。コネチカット州在住で 元校長先生。現在NY州のボード・オブ・エデユケーションで働くドーラン先生は この200人の中の一人として この旅に参加しました。全米各地からやってきた先生方200人は 先ず東京に集合して日本の文化、習慣、政治、教育などについて学んだ後、日本全国に散らばって 教育の現場を視察すると共に ホーム・ステイを経験して 生の日本を見る事になりました。ドーラン先生が行ったのは 富山県の高岡市。東京都内の学校とは少し違って 色々な意味で「まだ日本らしさ」が残っている日本海側です。ドーラン先生は この旅の記録を 写真を交えたプレゼンテーション・スタイルにまとめて それをコンピューターに修めました。帰国後 様々な所で日本での経験を発表するのに この方法は最適です。私もそのコンピューターに修められた写真を見ながら お話を伺いました。
先ず 最初に出てきた写真とは 高岡市で訪れた小学校の下駄箱風景です。日本人には見慣れた風景ですが アメリカ人先生の目に留まったのは 上靴と外靴の区別がある事。そして これらの靴が整然と下駄箱の上段と下段に入れられている事。ドアもなければ鍵もかからないのに 誰も靴や傘を盗む人がいない事。その日は たまたま雨の日だったそうで カメラは学校の下駄箱の脇にある傘立てにも向けられました。日本人なら「学校の中だから 鍵をかけたりしなくても大丈夫」と思いますが アメリカでは 残念ながら そういう考え方は通用しないんですね。自分の物は自分で守る。これが アメリカでは鉄則の様です。
次は お掃除の風景。 日本では 教室の掃除は勿論、トイレの掃除も生徒がやるのが普通です。そこには教育と言う部分が含まれていて 生徒達は「自分で汚した所は自分で綺麗にする」と言う行為の中から 様々な事を学ぶのでしょう。一方 アメリカでは 学校の中に掃除専門の業者が入って来て掃除をしてくれるのです。たかが掃除なんですが この様な小さな違いが なんだか日米の大きな違いの一つである「しつけ」と言う言葉を浮き彫りにしてくるようです。アメリカの子供達は自由にのびのびと自分の好きな分野の才能を伸ばせる環境にある。しかし しつけがいまいち。と言われています。それに対して 日本人の子供達は平均的で個性がない。でも お行儀は良いし 団体行動が上手。と言われます。どうやったら日米の良い所だけを組み合わせた教育が出来るんでしょう?
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