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第25話「サトウ林に春が来た」

 ハートランドレポートを書き始めたころ、秋の行事としてオジブウェ族のワイルドライスをご紹介しました。今度は、メープル・シロップ(サトウカエデの樹液で作る糖蜜)作り。アメリカのネイティブピープル(別名アメリカンインディアン)にとって何百年、何先年と続いている春を知らせる習わしのご紹介です。日本ではカナダ産のメープルシロップでお馴染みの方もいらっしゃるかもしれません。

 ミネソタに住むオジブウェ族のスピリチュアル・リーダー、ポーキー・ホワイトさんは、メープルシロップ作りを70年近くやってきたベテラン。今年もまた、ポーキーさんのシュガーブッシュ(サトウ林)に大勢の人たちが集まり始めました。
 メープルツリー(カエデの木)は、オジブウェ語でイリナテ。英語で言えばMAN TREE。人間のように物を言う木とでもいいましょうか、ネイティブの人たちにとっては聖なる木と言われています。
 ポーキーさんは、昔母親から、この木のお陰でネイティブは命拾いをしたという言い伝えを聞いたことがあります。「むかしむかしの話しですが...長い冬も終わり、春が来た時、私たちは食料不足のためひもじい思いをしていました。そんなある日、森を歩いていたら、誰かの声が聞こえてきました。不思議に思い湖を眺めてみると、また後ろから声が聞こえてくるではありませんか。この木をたたいてごらん、そうすると下の方に水がしたたり落ちてきますよ、それを飲みなさい、と。」  
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