My Life
甲田益也子

「癖のある店」

 私がわりとよく通る道筋に、癖のある店が二つあってちょっと気になっていた。気になるとは言っても、それは入ってみたいというより関わりたくないといった感じが強く、決して入ることはないと思っていた。ので、冗談で人に「行ってみれば」とけしかけてみたりしていた。

 お客さんを呼ぶ店として癖があるというのは、一般的にはマイナスでしかも地代の高い都心においては存続の危機もはらんでいるわけだが、癖のある店はよく見かける。そして人が入っているところもまず見ない。そう、癖はあるけど人が集まっているところならそれほど気にならないのかもしれない。癖プラス暇。

 その二店は奇しくも、美容関係だったが対照的。一つは新しく若い人達がやっていると思われる美容院。アジアエスニック手作りの雰囲気で、みかけの清潔感は重要視されていないようで、カットするには暗そうなライトがさがっている。もう一つは何十年と変わらぬ様子の理髪店。理髪は私に関係ないからまず入る理由もない。美容院とて何もそこにチャレンジせずともすむ。ところが、、、。


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