私は現在就職活動真っ最中の女子大生であ
る。リクルートスーツに身を固め、愛想笑いを振
りまく辛い日々が続いているが、そんな中にも
おもしろいことってあるものだ。
先日ある会社で健康診断を受けるように言わ
れた。さっそく指定の病院に行くと、採血をする
ことになった。心の準備を整えるまもなく私の腕
にはアルコールが塗られ、ブスッと太い針が。
あの感覚って何度体験してもイヤなものだ。し
かも私はイヤなくせにそこをじっと見つめてしまう
癖があるので余計ダメージが大きい。採血の容
器には、規則正しいリズムで私の真っ赤な血が
ぴゅっぴゅっと流れ込んで・・・。
今書いていても力が抜けてくるが、その時の
私はクラクラしながらも、「ああ、私って生きてる
んだなァ」などと思ってしまい、思わず「エヘヘ」
と声を出して笑ってしまった。看護婦さんはギョ
ッとしていたが、血を抜かれていることに舞い上
がっているから止まらない。結局採血の間中ニ
ヤニヤし続け、かなり怪しい女という印象を残し
てしまった。
毎日あちこちの会社を訪問し、一見活動的な日々を過ごしているような気がしていたが、ふと考え
てみると何だか現実のことだという実感が湧かな
い。筆記試験が通った、ヨシ次は面接だという感
覚は、まるでなんとかワールドをクリアして進んで
いくゲームみたい。自分はそのゲームの中の存在
で、誰かに操られているみたいな気がする。
だけど、採血などというひょんなことで、私は現
実に生きているという実感を得た。確かに就職活
動という祭りに巻き込まれているのかもしれない
が、踊るかどうかを決めるのは私自身。一生に一
度しかない（ことを願う）就職活動ならば、踊り疲
れていやになるまで踊ってしまうのも一つの道だ
ろう。
と、こんなことを悟ったのは最近の話である。実
際採血の後は、さっき見たグロテスクな光景が頭
から離れず、ひどい貧血になってしまった。フラフラ
しながら心電図などをとってもらったので、影響が
出たのではないかと心配が募る今日この頃だ・・・。
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