新趣向ノンフィクション
「90歳のジャズの王様、ベニー・カーター」
 第4回

 ベニー氏の豪邸はロスにある。プール付っていうのは、米国じゃ珍しいことではないが、リビングが素晴しい。
「リビングには藤田嗣次の絵画がずらりと飾られていて、一個三千万円相当の日本の壷など骨董品が置かれている」(友人)
 という。
 豪邸の前の通りは、いつしか「カーター通り」と呼ばれるようになった。

 車はロールスロイスに乗って、奥さんとレストランへ行くのが楽しみなんだそうだ。
 彼は四年前に肺に水が溜まる病気になった。
 これからの希望というか夢は、「生きつづけること」
 と率直にいう。
 ちょっと気難しい面もあるが、演奏を聴いていて気にいると、ガラッと態度を変えて、いきなり友人になり、夢中になって一緒に演奏するんだという、
「ジャズ奏者にとって大切なことは自分を見失わないこと。ベニーサンはいまでも自分の演奏をしている。わたしたちにとっては雲の上のような存在だが、見習いたい」(ジャス奏者)
 その演奏を聴いていると、温かく包むようなものが伝わってくる。

(おわり)


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