闘いとショーの狭間で〜衛星放送時代の主役は誰か? 〜

転換期を迎えるプロレス業界 第1回
「厄介者のアントニオ 猪木」

 今アントニオ猪木は新日本プロレスにとって邪魔な存在でしかないようだ。これま で沈黙を守っていた主力選手たちが小川直也の登場を機に露骨な猪木批判を繰り返し ている。今年25周年を迎えた新日本プロレス。その創設者の猪木がなぜ目障りな存在 になってしまったのか?  気まぐれで自分が常にトップでいないと気がすまない性格 。世界平和を名目に無意味なイベントを乱発したがる癖。会社の利益を赤字の埋め合 わせに使っても平気でいられる金銭感覚。

猪木の常識のなさをちょっとでも知ってい る者なら理由はいくらでも浮かぶ。だが実はそんなことよりも現場にいるレスラーた ちが許せないことがあるのだ。それは彼らのリング上の闘いを否定していることだ。 平成時代のお客にマッチした明るくスポーツライクなプロレスを提供している現代の 選手たちを認めず、陰惨な匂いすら漂う格闘技色強い昭和のプロレスにこだわり続け るからなのだ。だがこの猪木のこだわりが今プロレスの形態をも変えようとしている 。



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