スズカ8耐に参戦へ?!/PAGE2

<ジュン、用意しとけ!!>

 予定の9:40を過ぎた頃、藤井チーム監督から「ジュン、用意しとけ」と声が掛かっ た。担々とレーススーツを身に着け、グローブをはめ、最後にヘルメットをかぶる。 さきほどのポロシャツに短パン姿から、「仕事人」に早がわりだ。そして、ヘルメッ トから目元しか見えなくなった彼の表情はやはり「仕事人」の目をしていた。ディレ クターチェアーに座り、腕組みをし、ピット内のモニターでレース状況を見る。この 時点でモニターからゼッケン778番のブラックバードの着順は消えていた(15位以下) が、ブラックバードと小西選手のモーレツな追い上げが既に始まっていた。
いよいよ前田選手にライダーチェンジ。耐久レースの見せ場だ。ライダーが稼い できたトップとの差をピット作業で遅れてロスすることは許されない。しかも、レギ ュレーション上、エンジンは一度ストップしなければならないというリスクをかかえ ている。思った以上にゆっくりした足取りでブラックバードに前田選手が近づく。小 西選手が監督にマシン状態、コース状況をシールドしたまま報告。そしてライダーチ ェンジ。セルスイッチを押すが、なんとっ!エンスト。しかし素早くもう一度押し、 何事も無かったように、意外なほど静かに前田選手とブラックバードはピットを離れ て行った。

 ここからの前田選手とブラックバードの追い上げは、他のマシンとの格の違いを感 じる程だった。短すぎる東コースでありあまるパワーをもてあまし気味のブラックバ ードだったが、次々と前車を追い抜いていく。そして、持ち時間を終え、再び小西選 手にライダーチェンジをするまで、彼は何とブラックバードを2位まで引き上げてい った。 ピット内に戻る彼をスタッフ関係者全てが笑顔で出迎え、握手。まだ、レースも終え ていないのにだ。ピットからヒョッコリ、パドックに顔を出した彼は、「まぁ、こん なもんですワ。」上気した顔の目元が優しく笑っていた。

<いよいよ8耐へ>

 そして午前11:02.27、小西選手がトップでコントロールタワーを通過、チェッカー を受ける。同時にピット内スタッフがみんな拍手。スタッフ、前田選手とも満点の笑 顔と安堵感の表情だ。スタッフがかわるがわる前田選手にかけ寄り、握手。前田選手 も、ピットを飛び出し、ビクトリーランでステップ上で立ち上がったまま両手を広げ て戻ってきたブラックバードと小西選手を出迎える。スタッフによる喜びの輪ができ 上がり、そのまま、表彰台へ。

 表彰台の真ん中、一番高い位置に前田選手、小西選手が立つ。オフィシャルアナウ ンサーのみし奈さんのアナウンスで、1位の選手だけに送られるチェッカーフラッグ が前田選手に渡される。つづいて、シャンパンファイト。この時ばかりは、つい先程 までバトルをしてきた選手たちが、表彰台のどの位置も関係ないようにはしゃぎまわる。
そして、8耐選手権参戦のプレートの贈呈。小西選手に促され、前田選手が受け取る 。そう、実は今日チームを組んだ小西選手は8耐決勝では別チーム、ヨシムラからの 出場が決まっているのだ。みし奈さんからのインタビューを受けた二人のコメントが ユニークだった。
「決勝ではFCCの778番とともにゼッケン12番のマシン(小西選手が乗るバイク)を応援 してください。」と小西選手が言い終えないうちに、前田選手が「決勝ではメインス トレートで778番(ブラックバード)が12番をブッチギリマッセ!!」と言うと、スタ ンドからドッと笑いがもれた。

<これは通過点>

ピットに戻り、パドックに出てきた前田選手と握手した。いみじくも二人同時に「予 定通り!!」と言った。そして彼は「あくまでこれは通過点ですから。」とも言った。 8耐へ出る為の通過点かとも思ったが、彼の今後の長いレース活動の通過点なんだろ うなと思った。やっぱり彼は「仕事人」だった。


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