「シンクライアントに対するチャンネルの不安と期待(下)」


 多くの米国のPCチャンネルでは、PCビジネスを大きく拡大できない現在、NCなどのシンクライアントも積極的に取扱商品に加えなければならないと考え始めている。
 しかし、IBMやサンなどの有力メーカーが大量のNCを投入し始めると、これまでチャンネルの主力商品であったPC価格を大きく引き下げる要因になることを懸念しているのである。しかしNC、NETPC、Windows&ターミナルを含めたシンクライアントは、次世代の代表的商品モデルになるという認識は、米国チャンネルでは定着しつつある。一方で、シンクライアントはPCよりはずっと早く、低価格化が進むだろうと覚悟をしている。そのため、シンクライアントのビジネスでの付加価値をどこで求めるべきかを、チャネル経営者達は真剣に考え始めているのだ。ある経営者は、シンクライアントは携帯電話のようにタダ同然で売られることも考えた上で、ユーザーに料金が継続的に請求できる通信料と似た、サービスビジネスを模倣している。

 「NCでは一括100台か、それ以上というビジネスチャンスが多い。3桁の台数がまるまると、マージンも多額になる。しかも社内の施設PCをNCでどんどん置き替えるようなユーザーをつかまえて、驚くような多額のマージンを手中にしているチャンネルも現実に誕生している」と、チャンネルに詳しいアナリストは述べている。

 IBMはNCをいずれ、PCサーバー、ミッドレンジAS/400、UNIXサーバーRS/6000とのセット販売に向かうのは間違いない。これらサーバーとシンクライアントの組み合わせによって、ユーザーのクライアント/サーバーでカバーするアプリケーションの領域は、これまで以上に拡大するだろうと、多くのチャンネル経営者は見ている。というのも、NCでは、利用分野を広げてもTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーショップ)が広く維持され、ソフトもサーバーからダウンロードできるので、情報システム部門のエンドユーザーサポートの手間がPCのようにはかからないからである。従ってクライアント/サーバーでのユーザーサポートの力のあるチャンネルでは、シンクライアント需要の拡大によって、ビジネスチャンスはこれまで以上に膨らむと期待している。しかしハード単体の箱売りビジネス主体のチャンネルでは、シンクライアントは逆風として作用する。サンはJavaステーションの大量出荷を開始する以前の97年秋口から、これまでサンの中・大規模のソラリス・サーバーの販売実績の高いチャンネルだけ集めJavaステーションによるビジネスソリューションの研究会を頻繁に開催したのである。サンの狙いは明確である。


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