Ellison CEO(オラクル社)が
Thin clientでインテルに塩を送った
(その1)


今年6月以降、NetPCやNC(Network Computer)という軽装備端末(Thin client)を巡る話題が賑やかになっている。 95年秋”500ドルパソコン”という一般受けする名を流布したのはオラクルのラリー ・エリソン CEOである。その直後のCOMDEX(コンピュータの展示会)において、IBMのルイス・ガースナー CEOは”ネットワーク・セントリック・コンピューティング”を提唱。ここでガースナーCEOは企業ユースのThin Client「インターパーソナルコンピュータ」コンセプトを提唱した。
これらは現在NCとして商品化され、多くのメインフレームユーザーが採用し始めている。一方、NCに対抗するためWintel陣営は、Wintel仕様のThin client「NetPC」仕様を発表すると同時に、マイクロソフトはPCの維持管理コスト(TCO、Total Cost of Ownership)を削減する管理コストゼロのウィンドウズを打ち出した。

いよいよ97年後半からエンタープライズコンピューティング分野で、Thin Client の両雄”NC”と”NetPC”のせめぎ合いが幕開けされた。 ところが、今、シリコンバレーでは、エリソンCEOが「インテルに塩を送った」とい う評価をされ始めている。 現行PCの過剰機能、度重なるバージョンアップやグレードアップ、これに伴ってTCO が高額になることをエリソンCEOが指摘し、この解決策として、エリソンCEOはNCコンセプトを提唱した。 そしてエリソンCEOの指摘を裏付けるように96年秋、ガートナーグループ(米国調査 会社)はネットワーク環境下にあるPC1台のTCOは年間11,900ドルという巨額に達すると発表した。この数字を受けて米国企業のIS情報管理部門は、この巨額なTCOを削減することを最大の課題として取り組み始めた。

一方、インテルはPCのプロセッサ市場を支配するベンダーとして、早くからPCの維持管理コストが、企業ISで大きくクローズアップされることを実は予見していたのである。そのため91年にインテルはネットワーク管理ソフトを開発したLAN Systemを買収している。
そして当時インテルは、コンパックなどの有力ベンダーに対して、TCOを削減するた めのツール開発を協力して行うことを呼びかけたのである。しかしPCベンダーは当時 、PCのパフォーマンスを向上することにのみ熱中しており、インテルの呼びかけに耳 を貸さなかったのである。    

(つづく)

シリコンバレーウォッチャー

スーパーコラム インターネットスクープ うわさのインターネット
MBホームJCCホームバックナンバー