Ellison CEO(オラクル社)が
Thin clientでインテルに塩を送った
(その2)


インテルの予見は正しかった。ガートナーの数字の発表される前から、多くの米国IS 部内はPCベースのクライアント/サーバーが、メインフレームや大型UNIXサーバーによるネットワーキングよりも、日常のユーザーサポートやシステム開発・維持管理に多大な時間とコストがかかることを実感していた。

インテルは有力PCベンダーの協力は得られなかったが、PC管理コストの削減ツールの研究は続けていたのだ。そしてエリソンが500ドルPCコンセプトを世界へ向けて伝道している間、インテルは今日のNetPCの仕様策定にとりかかったのだ。ガートナーグループの数字と、IBM、サンなど有力ベンダーがNCを発表したことによって、ISでのThin Clientへの興味は一挙に高まり出した。そしてそのタイミングをはかるようにインテルはNetPCの構想を発表したのである。これにはコンパック、HP、デル、ゲートウェイなどの最有力PCベンダーが呉越同舟の形になった。ところがNetPCに最後まで消極的だったのはマイクロソフトのゲイツCEOであった。しかしガートナーの数字を見て、ゲイツCEOもついにNetPCの潮流に乗らざるを得ないことになったのだった。

エリソンCEOは、PCの維持管理コストを削減するために500ドルPCを発表し、この伝道に相当なエネルギーと時間をかけた。この間にインテルはNetPC仕様を開発することができたのである。
Wintel陣営がTCO削減に焦点を当てた開発ができたのは、まさしくエリソンCEOのお陰であったというのが、シリコンバレーでの一致した見方である。 塩を送った方が勝つのか、塩をもらったほうが勝つかは現時点で予測するのはいささ か早すぎる。しかしながらWintel陣営がTCO削減で協業できないでいれば、多くの企 業が、PCベースのクライアント/サーバーからメインフレーム主導型のセントラライ ズドシステムに回帰せざるを得ない状況を迎えたという、シリコンバレーのアナリシ スも正しいのであろう。NetPCに乗り気でなかったゲイツCEOは、早くもNetPCの粋を越えたThinestのウィンドウズターミナルへ熱を入れ始めたのである。Thin Clientを巡って、Wintel陣営の足並みは乱れ始めている。

シリコンバレーウォッチャー

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