「マイクロソフトの"Windows on Windows戦略"によるJAVA対抗策」


 マイクロソフト(以下MS)は"Windows on Windows(以下W on W)"と言われるネットワークコンピューティング戦略を準備しつつある。
 "W on W"とは、DOS、Windows3.1という旧型PCだけでなく、アップルのMacintosh、UNIXワークステーションを含めて、すべてのデスクトップコンピュータ上で、Windows32ビットアプリケーション(Win32API)が利用できるコンピューティング環境である。

 しかしながら、Windows3.1やMS-DOS、MacOS、UNIX上で、Win32APIアプリケーションを"直接"使うということではなく、これらの機器をWindowsNT ServerをOSとして載せたPCサーバーに接続し、このPCサーバー上で最新のWindowsアプリケーションを走行させ、このアプリケーションに各クライアントからアクセスさせるという手法を採るのである。
 そのため、NTServer上にHydra(開発コード名)と呼ばれるマルチユーザー用ソフトを載せるわけである。HydraはWinFrameを持つシトリックス・システムズ(Citrix Systems)からのライセンス供与によって開発されている。各種クライアント装置にはHydra Client(シトリックスのICAプロトコルをベースに開発)と呼ばれるソフトウェアを載せ、サーバー上で動作する32ビットのWord、Exel、PowerPointなどのアプリケーションを表示し、操作できるようにする。
 こうして、MacやUNIXワークステーションからも最新のWindowsアプリケーションが使えるようになる。

 ここでMSの"W on W戦略"の狙いを次のように整理することができる。
  • デスクトップでの、JAVAに対するWindowsの優位性を確保する

  • JAVAアプリケーションを主体とするNC(NetworkComputer)に対抗する、Windowsターミナルの優位性を確保するためにWindowsCEをOSとして採用する。 サーバー上のアプリケーションをマルチユーザー環境で利用する、ビル・ゲイツCEO が提唱した最も計量級(The thinest)のスーパーシンクライアントのWindowsターミナルも、"W on W戦略"の一環である。
 ところがMSのJAVA対抗の手段として誕生する"W on W戦略"は、Wintel陣営の有力PCベンダーにとっては、新モデルPCへのリプレースを阻害する要因となって、新モデルの拡販に大きなブレーキをかけてしまうのである。
 というのもクライアント装置のリプレースという投資をすることなく、各クライア ント側にHydra Clientという、せいぜい数十ドルのプロトコルを載せるだけで、これ らの旧型PCで32ビットWindowsアプリケーションが使えるようになるからだ。 IBMもBluebird(インテルNC用OS)、サン・マイクロシステムズはJavaBlaster(PC用Javaボード)によって、旧型PCをNCにコンバートする戦略を展開する。

 これらはいずれも旧型クライアント装置の買い換え需要を阻止してしまう。こうし た動きが、マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、IBMという強力なベンダー の戦略上の必要から浮上してきている。PC専業のハードベンダーにとって、いよいよ 大きなアゲインストの風が吹き始めたのである。

シリコンバレーウォッチャー



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