台湾誘拐ビジネス第2回

 「台湾は、経済的な成長を急激に押し進めた。文化的な成長の方が後からついていったという感じです。」と、台湾のある人気女優が自らの女優という職業経験を踏まえて語った。

 しかし、頼みの綱の経済成長がいま、バブル崩壊で苦境に立たされている。
 台湾の貯蓄率は、87年に38.5%だったが、96年には24.9%にまで落下。経済成長の鈍化を背景とした企業収益の低下、貿易黒字の減少などが要因だ。
 国内景気の低迷で、台湾企業はいま、中国・福建省や日本・沖縄などへの投資熱が急速に高まっている。
 暁燕さん誘拐事件の犯人グループもこうした台湾のバブル崩壊の鬼っ子と言えなくもない。表の経済が窮すれば、裏経済も困窮する。

 犯人グループは、中国大陸への投資に失敗し、挙句の果てに、約6億円もの身代金を要求する誘拐に狂奔するに至った。
 経済政策の失敗、治安の悪化に対して、市民の不満は爆発寸前になっており、5月4日には、「政府無能・人民不安」「憤怒」「抗議」「悲」などのプラカードや横断幕を掲げて、台湾市民5万人がデモ行進した。



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