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早稲田が5点リードし迎えた5回表、味方の加点に続き高橋選手にこの日2度目の打席がまわってきた。 そしてこの打席、高橋選手のバットから放たれた乾いた打球音は一瞬の内に46,000人の歓声にかき消され、神宮の森に響きわたり、スタンドは大きく揺れた。 この瞬間高橋選手が放った通算22本目の本塁打は田淵幸一選手(法大、現評論家)が29年前に打ち立てたリーグ本塁打記録に並んだ、 前日はバットを振ることさえままならない3四死球、そして優勝のかかった試合での 大量点差を一挙に追いつく同点打ということも重なってか、高橋選手は拳を突き上げ、何度も何度もガッツポーズ、体中に喜びをあらわしてベースを1周した。 得点のたびに早慶両校の校歌が交差する大熱戦の末、高橋選手の記録とともに慶大の優勝が決まった。高橋選手は現在4年生、これまでの大学野球生活でまだ優勝の経験はなかった。 「初めての優勝をなんとかつかみたい」 試合前、高橋選手はこう言っていた。 まだ、春のリーグ戦。これから秋のリーグ戦も残っている。このまま行けば、新記録樹立もまず確実なところだ。 このところマイナーなスポーツになり下がっていた大学野球に、久々のスター誕生である。 次回から高橋選手のパワーの秘密、スカウトの評価、プライベートライフなどを満載して連載するので、よろしく。 |
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