慶大のスラッガー
高橋由伸選手只今、本塁打記録爆走中
第3回



(写真提供共同通信社)
 慶大野球部の後藤寿彦監督は、きさくで冗談をよく飛ばす好人物。現在四十四歳。七十六年に慶応大学を卒業し、広島の三菱重工に勤務。 ずっと社会人野球を続けてきたが、三年前、慶大の監督に就任した。

 後藤監督は大学三年の春に、三冠王を達成している。 「これまで三冠王をと取ったのは八人だけ。後藤さんはその三人目だった」(大学野球関係者) 高橋選手も三年春に三冠王を獲得。この監督ありて、この名選手ということが、言えるのかもしれない。

 事実、後藤監督は慶大の監督就任四年間で、二人(高橋選手、丸山選手)の三冠王を育てている。
 高橋選手の場合、三冠王を取った次のシーズンである三年秋は不振だった。

 三冠王を取ったとたん、相手投手からのマークが厳しくなった。 とにかく、甘いボールが来ない。それどころか、他校のピッチャーが、ほとんど勝負してこないようになった。
「この春のシーズンでは、東大、立大はほとんど敬遠ばかり。ミエミエで勝負してこない。早大、法大は勝負がかかっているときだけ向かってくる。明大で勝負してくるピッチャーは川上だけ」(大学関野球係者)
 本塁打記録がかかるようになり、周りは騒がしくなる一方。しかし、相手投手は勝負してこない。高橋の心中に一時期、あせりが生じた



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