40回「アメリカのお受験改革」
優秀な子どもたちの能力を伸ばすことを目的とした学校は、アメリカにはいくつもあ
ります。セントポールの場合は、市立「ギフティッド/タレンティッド(優秀な生徒
たち)のためのキャピタルヒル小学校」。始めてこの学校の名前を見た時は、「優秀
な子どもたちのため」という修飾語が正式名についているのがすごいなーなんて思っ
たものです。
頭のいい子ばかりを集めたパブリックスクール。場所は、市内の貧民地区。地区人口
のほとんどは、黒人とアジア系難民。市としては、彼らの地域社会に役立たせるため
に建てたと思うのですが、最近問題が表面化され、一部の教育ママさんたちの間では、
結構話題になっています。
問題は、生徒の過半数以上が白人であること。「パブリックでありながら、なんとい
うことか。黒人の地区でありながら、黒人の生徒数が少ないということは、学校側の
責任だ」いうクレームが黒人コミュニティから出ました。
学校側も当然その問題はすんなり納得。なんとか、マイノリティ(少数民族)の数を
増やそうと、最近テストの内容を思いきって180度改善。従来実施していた筆記試
験は廃止して、授業中の様子を観察するだけに絞ることになりました。
結果は、学校側は上々だと報告。優秀なマイノリティの生徒が増え、学校の人口が多
様化したため、この試験はしばらく続けると発表しました。
親からのフィードバックですが、これははさまざま。「レベルが下がった。」「試験
の仕方が不明確。」「白人の男の子には不利な試験だ。」など。井戸端会議でいろい
ろなコメントを耳にします。
従来の筆記試験で受かったふたりの娘を持つ白人系の母親は、なんと、息子が新しい
試験で落ちて、がっかりしていました。「うちの息子、優秀じゃなかったのよ。」と
苦笑い。6際で優秀ではないと判断された子どもは、何も知らず、元気いっぱい走り
回っていました。
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