シリコンバレーウォッチ

シリコンバレーウォッチャー

低価格PC時代のリテールの救い神、BTO

 サブ1000ドルPCが98年にはもはや過去の遺物となり、米国PCリテールはサブ700ドル、サブ500ドルPC時代を迎えようとしている。このように超低価PC時代の到来を予期して、米国の最大手PCリテールのコンプUSA、コンピュータシティ、ステープルなどは97年秋口から、一挙にBTO(Build to Order)方式の受注生産体制を固めつつある。これら大手リテールはIBM、コンパック、HPなどの有力PCメーカーから、チャネルアッセンブリーの体制を備えることをサポートされていた。従って社内に店頭で販売するPCの組み立て加工の場所と設備をもち、品質保証のあり方も大メーカーの指導を受けていたのである。

 BTO方式は顧客の発注する仕様に従ってPCを組み立てる方式なので、PCリテールは従来の需要予測に基づく在庫経営の呪縛からやっと逃れることができるようになった。製品ライフの短いPCでは、在庫はほぼ18ヶ月毎に完全に陳腐化してしまい、他店の価格を横目で睨みながら値札を貼り直し、2ヶ月に1回は逆ザヤ利益を承知で在庫一掃セールを画するのがストアマネージャの仕事であった。BTO方式ではMPUやメモリ、ディスク、モデムなどの部品を最新価格で仕入れておけばよいので、部品価格の低価格化に対応して、直ちにPCシステムの売り値を下げることができる。


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