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〜日本人唯一のマン島T.T.チャレンジ編〜その4
〜NO.3〜

国際A級ライダー 前田淳

 マン島には、公式練習といったものはなく、すべて公式予選なんだ。
朝と夕方のどちらかのセッションがあり、火曜日から金曜日までのいづれかのセッシ ョンで規定のタイムをクリアすればよいわけだ。しかし、朝のスタート時刻はなんと !「早朝5時!」朝もやを切り裂いて走るんだけど、この時間の死亡事故が一番多く、かな り気を引き締めなくちゃならないセッションなわけです。

 マン島式スタート(2台ずつ のスタート)で、ついに僕もスタートしたんだけど、
コリャ、TVゲームだよ!
少しは街乗りしながら周回したけど、レーシングスピードで走ればすべての景色が かわって見えたなぁ。とくに裏の市街地区間が激しく、中途半端な思い込みは死を招 くことになるのでハーフアクセルでクリアするんだけど、こんどはそれが致命的なタイムロスになるらしく 、本当に難しい。マン島のタイムの稼ぐポイントは見通しのまだ効くマウンテンコースではなくてブラインドの連続する市街地区間にある。ここで確実な走りをすること が明日の走りにつながる!(「明日のジョー」っぽく)。

 しかし、普段から峠を走っているのが良かったのか、少しづつコースが自分のなか でつながってきて、 僕でも抜けるマシンがでてくるようになってきた。コースはまだ、全然わからないけど、 「熱くならず、冷静に一つずつクリアしていけば、なんとかなる!」と、漠然と僕は このとき思ったね。 だけど、本当は最初の予選を走り終えた感想は「あぁー、こわかった!」である。 (つづく)



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